2011年8月31日水曜日

サイエンスとパブリケーション

サイエンスとパブリケーションは,生物学の分野では(他の分野と比べても)かなり大きな問題になっていると思います.インパクトファクター至上主義はまずいとみんなが何となく思いつつも,他に代替案が見つからないのでどんどん袋小路に向かって進みつつあるのではと思います.

また,最近はオープンアクセスジャーナルが乱立されて,読むのが大変になってきました.やはりオープンアクセスは質の確保が一番難しいのではないかと思います.確かに中には光るものもありますが,よくわからない論文もたくさんあります.

ジャーナルタイトルもきわどいのがあったりします.さすがにCellsは紛らわしいのではないでしょうか.

2011年8月24日水曜日

クリップボードのDNA配列を相補鎖にする

ここしばらく手作業でDNA配列を扱っていかったのですが,ちょっと用事があって昔に(10年くらい前?)書いたスクリプトを使いました.今でも結構便利だと思ったのでダウンロード可能にしておきます.

WindowsのクリップボードのDNA配列を相補鎖にして,中身を書き換えるPerlスクリプトです.WindowsにPerlは標準装備されていないので少し微妙な組み合わせですが...

revcomp_clip.pl

2011年8月23日火曜日

Theory of adaptation

進化遺伝研究部門では月一度の割合で,遺伝研の色々な研究グループが集まって進化に関するディスカッションを行う集まりを主催しています.論文紹介というよりは一つのテーマに沿って,論文をもとに1時間か2時間くらいディスカッションをするものです.

本日あったジャーナルクラブの話題はadaptation(適応)だったのですが,昔読んだ論文をよく思い出せなかったので,再びA. Orrの二本の論文を読み返してみました.一つは1998年のEvolution,もう一つは2005年のNat. Rev. Genet.に載ったものです.

生物がどのように環境に適応していくかというのは進化学の中心となる話題の一つですが,理論的な研究で最も有名なものはR. Fisherのgeometric modelと呼ばれるものです.よく例えられる例としては,生物の適応進化は顕微鏡の視野の中心にある点(進化の最適値)を合わせるようなもので,ちょっとずつ視野を動かしていけば徐々に良い方向に向かっていけるが,大きく動かすと全然違う場所に視野が移る確率が高くなってしまうので,適応は小さい変化が中心となっておこるというものです.

この理論はのちの研究者にも引き継がれ,もともとの理論はかなり修正もされています.A. Orrはこの理論の発展に大きく貢献していますが,彼の現在の研究はショウジョウバエの実験が中心なので,最初この論文を読んだときはものすごい幅広い才能のある人だと驚いたことを覚えています.

内容を簡単にまとめると.

1. Fisherのモデルでは,有利な変異が集団に固定する確率が高いということが考慮されていなかった.これを考えたのが木村先生のモデルで,大きな効果のものはそれだけ集団中に広まりやすいので,最適値からの距離の効果とは打ち消しあう.その結果中間的な大きさの効果を持った変異が一番たくさん固定する.

2. ところが,これらのモデルを考えるときに問題となるのは,変異の効果の大きさ(表現型に対して大きな効果を与える変異・小さな効果を与える変異)の単位である.Fisherのモデルでは最適値から現在の値への距離ですべてが基準化されている(逆にいうと,現在の値がどのような値でも成り立つ法則である).

3. したがって,現在の値が最適値に近づくにしたがって,集団に広まる変異の大きさも小さくなってくる.つまり,進化は最初大きなステップ(一回ごとの変化の大きさ)で起こり,徐々に小さなステップによって刻まれることになる.そして,この時の最適値に近づくステップの距離の期待値はべき乗にしたがって短くなっていく.更に,適応過程全体を見ると,ステップの分布は指数関数分布に近くなる.

で,昔読んだときにはあまり理解できていなかった内容ですが(忘れてしまっていたのでたぶん理解が浅かったのだと思います),改めて読んでみるととても明快で面白い内容でした.直感的に考えると当たり前のことのようにも感じますが,数学的な形で示されることは大事なことであると思います.

Fisherの理論はかなり古臭いイメージもあり,現在は語られることも少ないものです.教科書にもあまり載っていませんが,重要なので知っておいて損はない理論であると思います.

2011年8月15日月曜日

Nature e-alerts!

この娘はNatureに自分の論文が載ったのでしょうか?

ただ雑誌の目次が送られてきただけにしては喜び過ぎです.



さて、お盆ですが普通に仕事をしています.投稿していた論文の雑誌の編集者から正式なアクセプトの通知が着ました.

まだまだ色々と片付いていません.

2011年8月4日木曜日

SMBE2011

SMBEが終了しました.その後に遺伝研を訪問する人もあり,今日になってやっと落ち着いた感じです.

で,最近になってまたグラントが一つ通りました.お金があるのは良いことなのですが,科研費3割お預け状態の話もあり,中々思い切った計画が立てられません.プロジェクトものなので,他の方の足を引っ張らないように頑張りたいところです.

遺伝研は研究に使える時間は多いのですが,如何せんやらなければいけない研究の量が多すぎるので, これまでやってきた細々とした事項にケリをつけて本格的に次に進まなければいけません.徐々に片付きつつはありますが,幾つかはまだ消化不良の状態で残っています.